155竜宮司様ご依頼のSS自由枠(三時間目) 提出者龍鍋 ユウ@鍋の国



      その友情が愛情に変わるのにそう長い年月は必要としませんでした…





 竜宮とユウタは互いに顔を見合わせた。竜宮がかわいいなぁとチラっと思っているとユウタは言葉を口にした。


「どうしよう」

「どうしよう」

 竜宮も同じ言葉を口にし、互いにくすりと笑うと二人は立ち上がった。状況はどうしようもないが、ここに二人でいるということは絶望でもなく希望な気がしたのである。ユウタの兄でもある地竜がチカチカと光っており、その光も二人の気持ちに同意しているように竜宮は感じた。

 さすがにユウタの顔を見てるのが楽しいからとずっと見てる訳にもいかないだろうと竜宮は現状を把握することにした。

「この小笠原はどこの世界にあるんだろうなー」

 竜宮はそして、まずは腹ごしらえだと思い、ユウタに話しかけた。

「とりあえずご飯を食べよう」

 竜宮が食べれそうかな? と野草を引きちぎっているとユウタがペレットを取り出した。それを見た竜宮にユウタはニカっと笑った。


「ペレット、食べていい?」

「うん」

「ありがとー」

 ユウタから受け取った竜宮はそれを口にほおりこむと疑問を解決するためにユウタの兄にして地竜のコウタの方へと向いた。

「本州はあるのかなー?コウタさん、感知できます?」

 竜宮の言葉にコウタの目がチカっと光り、コウタのハッチがシュゴーっと開いた。中にはモニターがあり、そこには本州の姿が映っている。竜宮はモニターを見つめ、じっくりと観察した。コウタは竜宮の為に的確にモニターの情報を変えていく。
 本州に人がいないようでどうも放棄された様子であった。真っ先に調べた詩歌藩国のデータもなく。どうも移動をしたように見える。

「過去への行き方は私も詳しく知らないんだよねー」

 竜宮は悩んだ。未来に行くのなら例えばコールドスリープなど方法はあるいことがわかっているのだが、さすがに過去への行き方などはそうそう見つからないモノである。。


「うーん、どうしよう」

「どうしたの?」

 悩んでいる竜宮の元へとユウタはやってきた。二人してハッチの中に入り込んでいる。コウタの目がやさしく光る。

「通信は?」

 ユウタが通信装置を見た後に竜宮の顔を見て聞いた。

「いやー、藩国自力移動したみたいというか放棄されてる感じと言うか」

 竜宮は一人だったら絶望してたなぁっと思いつつもユウタが思ってたよりも近くに来てたのに少し照れ、そして照れ隠しなのか、ユウタの頭を撫でた。

「えー、僕達に連絡なしで?」

 ユウタの言葉に竜宮はそうだよねぇっと思った。ユウタ君や自分を追いて国が移動するのはちょっと考えられない気がする……。


「うーん、小笠原ゲーム内だから簡単に出れると思うんだよなー」

「それ、どういうの?」

「ま、君を呼び出して色々やってるの全部さ」

 竜宮はまぁ、帰れるかなぁっとこの時は安直に考えていた。

「通信して敵さん着たりしたら嫌だなぁ。」

 状況がわからないので不用意な通信は危険である。
 
「ま、いんじゃない?生きてるし」

 楽観的な竜宮にユウタは笑い、頷いた。


「僕は兄貴がいるし、98司もいるし」

 ユウタの言葉に竜宮はニコっと笑い、幸せオーラ全開で答えた。

「うんうん、私にはユウタ君が居るし、コウタさんも居るし」

 竜宮とユウタはニコニコ笑い、コウタは目をやさしく光らせる。

「作戦を考えよう」

「うん」

 ユウタの言葉に竜宮は頷いた。まぁこのまま笑いあってても話は進まないし、少し真面目に話をすることにした。

「おおざっぱにいって通信をとろうとするか、何か残していることに期待するか、さもなくば・・・」

 ユウタの言葉に竜宮が頷き、そして言葉を続けた。

「救助待ち、かな」

 三年間一緒に寝ていたからか、意思疎通がしっかりとできている。そんな気を思わせるセリフであった。

「そうだね。3年寝たから、また、ビーコン出しながら待つ」

「とりあえず救助が来た時用に旗でも作っとく?」

 竜宮は旗でも作ってSOSと連想していたが、ああ、ビーコンか、っと納得をした。

「ああ、ビーコンかぁ。いいね」

 竜宮は次の事を考えた。食事はなんとかなるし……あとは寝どこと……。

「そういえばコウタさんは燃料大丈夫なの?」

 竜宮は衣食住を考えて、途中で兄のエネルギーの源がなんなのか知らなかった事に気づいたのであった。

「うん。太陽あるから」

「そっかー。太陽あれば平気なんだね」

 ひとまず住む場所さえあれば何日でも……そこで竜宮はたった一つの重要な事を思い出した。



「一つ微妙なこと思い出した。」

「私は時間がたつとログアウト。つまりここから居なくなる可能性が高い」

 他の小笠原においてもそういう事例はいくつもある。ゲームによってはACEを残しログアウトする事もあった。竜宮はその想像が怖くて、でも、何も言わない場合でも消える可能性があるのでユウタに伝えることにしたのだ。

「うん」

 ユウタの目を真っすぐ見て竜宮は話を続けた。

「まぁ、ログアウトしたらしたで何とか助けに来るよ。」

 どこか気楽そうに聞こえるように竜宮は話を続ける。

「ログアウトしない方がいいんだけどね」

 まだ気楽そうに聞こえるように、実は深刻な話ではないと……思わせようとして、竜宮は失敗した。そもそも置いてかれる結果になるユウタと兄にとっては……と考えて少し暗い気持ちになった。

「ま、それだけ」

「……」

 しばし流れる沈黙の時。竜宮は帰還した場合はかならずなんとかしようっと思った。もちろん自分一人の力で解決できることではなかったので、みんなの力を借りてでもユウタ君に再開する誓いを立てたのである。
 



「わからないけど、うん。信じる」

 ユウタの言葉には竜宮に対する信頼の想いがこもっていた、そう竜宮には感じ取れた。

 二人は見つめあい、笑いあった。状況はまったく見えなくとも、気持ちだけは前向きになったのであった。

「島内を使えるものが無いか色々探してみようか?」

 竜宮がそんな言葉を言ったのはやはり罪悪感からか、竜探しの冒険を提案しなければこんなことにはならなかった……そんな思いがあるからこそもしもの時の為にユウタを助けるまでの手助けになれば……そんな思いがあるからこそ口にしたのであった。
 しかし、どうしても罪悪感がなくならない竜宮はとうとう謝罪の言葉を口にした。

「うん、ごめんね」

「ううん」

 ユウタはすぐさま返事を返すと笑顔で答えた。その笑顔には悪意のかけらもなく、こんな時でも竜宮の心に癒しを与えた。

「いこう」

「うん。」

 竜宮はユウタが笑顔で答えたというその気持ちに感謝し、ただ一つの言葉を紡ぎだした。

「ありがとう」



 二人は一緒に歩き始めた。周りは緑ばっかりで太陽がサンサンと輝いているせいか、なんとなくこの一時だけはハイキング気分である。食べ物はペレットがあるので二人はひとまず水場を探すことにした。元々の地形をミニターで参照し、そのデータ通りに進むとポンプ施設が見つかった。ポンプ施設はすっかり水没してしまっており、所々に柱だけが顔を出している状態であった。

「どこ探そうか。病院、たんぽぽのハンガー、とかかなぁ」

 竜宮は水場だけでなく雨をしのげる場所、あと寒さを凌げるように服などがありそうな場所を考えていた。

「ねえ。あの水場の真ん中までいかない?」

 ユウタは水場の方に指を指して言った。

「ベンチがある」

 竜宮はなんとなく焦りすぎてる自分に気づき、なんというか、今を大切にしたい……と強く思い、頷いた。

「わかった」

「うん」

 水場まで移動するのは難関であった。なにせ、人が通る場所でなくなっているので、どうしても足場が少ない。どこを移動しようとしても高低差のある場所や、足場がなくて、ジャンプして通らなければいけない場所がある。二人は仲好くジャンプしたり、手を握り、引っ張り上げたりと共同作業で水場への道を歩んだ。


 
 水場は水があるせいか、他の場所よりも涼しく、心地よい風が二人の体を通り過ぎて行った。兄のコウタは水場に向かわずにそっと二人を見つめていた。目がやさしげに光っている。

「涼しいね」

「うん」

 二人はしばらくそこで立っていた。そして互いに見つめている。今、この時の一瞬一瞬を刻むかのように見つめあった。
 なんとなく顔が赤くなっているような気がした竜宮は少しせき込んだあとに答えた。

「座る?」

 ユウタはニカッっと笑った後に嬉しそうに頷いた。竜宮はそのしぐさにかわいいなぁっとあらためて思った。
 二人は水場の横にある緑に囲まれたベンチへと座った。竜宮は方法はわからないけど、かならず助けようと思ってはいたが、それでも一人置いていくのがつらかった。元気にやっていくとは思うがしばらく会えない状況になってしまい、また見知らぬ土地に置いていくことになるのがせつない。

「うーん、ごめんね。巻き込んじゃって」

 それでも、ユウタは助けるという言葉を信じて、そして笑顔をくれた。あやまりたいという気持ちはいくらでも出てくるがあまりあやまり過ぎても相手の苦になる。

 恋愛というのものは惚れた方の負けであるが、それでも何とかしたいと思った。


 竜宮は今でも何か方法がないかと必死に考えた。



 そして頭に一つの映像が浮かんだ。


「…ユウタ君。コイン持ってる?」

 竜宮の言葉にユウタは懐からコインを取り出した。そして竜宮に見せる為に手渡した。

「ありがと、ACEは全員持っているのかな…」

 コインにはユウタとコウタが描かれている。まだもらえる段階ではないし、なんでも試練を突破しないと使えないという……。

 竜宮はチラっとユウタの顔を見た。ユウタは微笑んでおり、こうかわいかった。

「ありがと、コインはしまっていいよ。」

 竜宮はいずれにしてもまだ使えないだろうし、本来の証としての使い方でない使い方、帰る為に使う……というものではないと感じた。ユウタは相変わらず微笑んでいる。本日もう何度目かのかわいいなぁっと思った後、竜宮は空を見上げた。

「空、青いねぇ」

「うん」

 ユウタも同じく空を見上げた。

「ここは竜が多い」

「もう少し、人もいるといいね」

 静かにユウタの声を聞いていた竜宮はつぶやいた。

「そうだね。自然豊かだ。」

 ユウタの笑顔を見ているうちに今までの事を思い出し、そして竜宮は再び言葉を口にした。

「うん、ごめんね」

 竜宮はユウタの手を握った。ユウタのぬくもりを感じた。もしかしたらもうすぐ会えなくなるかもしれない。そんな思いが行動となって表れたのであった。


「なんであやまるの?」

 心底不思議そうにユウタは言った。コウタが目をチカチカと光らせている。竜宮は一時コウタの方を見たが、すぐにユウタの方を向き答えた。

「…巻き込んじゃったし、置いていったりするかもしれないから」

 どんなに楽観的に動いていても結局はそれが竜宮の変わらない気持ちであった。


「……こういうとき、なんていえばいいの? 僕達の関係」

 ユウタの言葉に竜宮はしばし、悶絶した、もとい、相手が自分に対してどれだけ信頼しているのかを実感し、そして気持ちに答えた。

「わかった。謝らない。 けど本当に謝らないよ?」

「うん」

 ユウタは相変わらずいい笑顔である。竜宮は色んな意味でユウタと会えたことに感謝した。

「それでもいい? 迷惑掛け捲って謝らなかったりするかもだけど」

 竜宮は友情も愛情もふっくるめてユウタが愛おしく感じ、そして自然と笑顔が出ていた。それは今までの笑顔とは別の意味で笑顔になっており、ユウタも同じ笑顔だった。

「待ってる」

「わかった」

 竜宮が笑顔で答えた時、竜宮の周りに光が現れた。徐々に竜宮の姿薄れていく。

「必ず来る」

 竜宮は叫ぶのでもなく、慌てるのでもなく、ただその一言に想いを込めてユウタに伝えた。ユウタも頷き、小さく手を振った。そして竜宮の姿は消えていった。





 ただその時の為に、ただ一人の想い人に再び再開するために竜宮は国へ戻り、次の行動を取るのであった。そしてその結果は儀式魔術に委ねられたのであった。


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